右近家の建物
(右近家の全景)
右近家の敷地内には、村の旧道をはさんで、山側に本宅と3棟の内蔵、海側に4棟の外蔵が建っている。
本宅は、明治34年(1901)に、それ以前の建物を拡充して建てられた。
平入りの2階建で、切妻造りの屋根には瓦が葺かれている。瓦は越前瓦で、棟先に「右近」の文字の入った丸瓦が置かれている。内部は、欅や桧材の太い柱や、米国産の松材を用いたと伝えられる平物、蝋色漆塗りの床框に象徴されるように、たいへん豪勢な造りになっている。
土蔵は、いずれも2階建で、欅材が多く用いられている。外蔵の南側3棟と北側1棟の間には、塗籠の長屋門があり、海に向かって開かれている。
本宅の北側には、山の斜面を背景にして造られた和式庭園があり、そこには、茶室が建てられている。

(屋根の鬼瓦) (通りをはさんで建つ本宅と蔵)

(庭園と茶室) (西洋館)
本宅背後の高台に、「西洋館」と呼ばれる別荘がある。昭和10年(1935)に建てられたもので、鉄筋コンクリート2階建となっている。設計者は、明治末期から昭和初期にかけて日本各地で洋風建築を手がけた、アメリカ人のウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏ともいわれている。なお、建築工事は大林組が行った。
外観は洋風で、屋根には茶色のスペイン瓦が葺かれ、2階部分の外壁は北欧の校倉造り風の桧丸太積みになっている。また、バルコニーも設けられている。
内部は和洋折衷になっており、1階には、暖炉を備えたホールと寝室を中心に、厨房、洗面脱衣室、浴室、水洗便所などがあり、2階には4畳の前室を持った10畳の和室がある。
また、背後の山には散策道でつながる庭園や、当時としてはめずらしい鉄筋コンクリート造りの擬木を用いた休憩所があり、そこからは日本海を一望することができる。

(西洋館内のステンドグラス)
常設展示品の紹介
常設展示品の紹介展示品の一部を紹介します
航海用具
船磁石と龍吐水(ポンプ)
航路や港の情報を記した航海書
商い道具

印鑑-右近家の船頭が、取引や帳簿の作成で用いたもの
船箪笥

懸硯(かけすずり)
船往来手形・仕切り状・現金などの保管庫として用いわれた
半櫃(はんがい)
船頭の衣装入れとして用いられた
ふたに右近家の家紋(茶の実)と、「右」「権」の文字がはめ込まれている

知工箪笥(ちくたんす)
書類入れと机を兼用したもの
引出しの裏面には、天保九年に買い求めたことが記されている
船乗りの衣装・持ち物

印半纏-「右近」の文字がデザインされている